廃棄物の種類

産業廃棄物の木くずとは。一般廃棄物との違いや種類と具体例、処理方法を解説

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木くずは建設解体や製材、物流パレットの廃棄など、さまざまな現場で日常的に発生する廃棄物です。

産業廃棄物に区分される条件や適正処理の手順を知らなければ、法令違反や余分なコストの原因になりかねません。

本記事では、木くずの法律上の定義や産廃・一般廃棄物の違い、リサイクルや焼却を含む処理方法、費用相場まで解説します。

ぜひ参考にしてください。

木くずは産業廃棄物?種類と区分をチェック

事業活動で生じた廃棄物は「産業廃棄物」として処理するのが原則です。

木くずも例外ではなく、排出した業種や工程によって産業廃棄物になるか一般廃棄物になるかが決まります。以下で具体的に見ていきましょう。

1-1 産業廃棄物として扱う木くず

木くずが産業廃棄物に該当するかどうかは、排出した業種と工程で決まります。

次の事業活動から発生した木くずは、廃棄物処理法に基づき 許可処理業者へ委託 しなければなりません。

  • 建設業
  • 木材・木製品製造業
  • パルプ製造業
  • 輸入木材の卸売業

これ以外に、貨物の流通のために使用した木製パレット・木製パレットに用いた梱包用木材は、業種を問わず産業廃棄物です。

加えて、ポリ塩化ビフェニル(PCB)に汚染された木材特別管理産業廃棄物に分類されます。環境汚染や人体への悪影響を引き起こす恐れがあり極めて危険なため、専門施設での無害化処理や高温焼却など、法令で定められた方法で適正に処理しなければなりません。

PCB汚染物について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

PCB汚染物とは?種類や適切な処理方法を徹底解説!低濃度PCB廃棄物処分の注意点も

1-2 一般廃棄物として処理する木くず

木くずの中でも、事業活動とは直接かかわらない場面で発生したもの家庭から排出されるもの「一般廃棄物」です。

たとえば、オフィス改装の際に不要となった木製ラックや、個人宅で剪定した枝木などがこれに当たります。こうした木くずは、市区町村が定める分別に従い、自治体の収集あるいは指定の清掃業者に処理を依頼するのが原則です。

次のようなケースでは判断を誤りやすいため、特に注意しましょう。

判定が紛らわしい木くず区分処理先・留意点
流木(河川整備・護岸工事などで発生)一般廃棄物工事が事業活動に見えても流木は原則一般ごみ扱い。ただし産廃として処理するケースもあるため、自治体の受け入れ基準の確認が必要
造園業の剪定枝〈家庭の庭木〉一般廃棄物〈公園・街路樹〉産業廃棄物同じ造園業でも、対象が公共施設の場合は産業廃棄物となるため、処理ルートがわかれる

産業廃棄物における木くずの具体例

木くずが産業廃棄物に区分されるかどうかは「どこで、どの工程を終えたか」が判断基準となります。ここで、木くずが産業廃棄物に分類される代表的な例を見てみましょう。

  • 製材・木工工程: 丸太を切り出す際に生じる端材やおがくず、バーク(樹皮)、廃チップなど
  • 建設・解体工事: 型枠や足場板に使われた合板、防腐剤や塗料が付着したままの廃木材、住宅解体で出る梁・床材など
  • インフラ整備・公共工事: 道路拡幅や河川護岸工事に伴う伐採木・伐根材、公園設備の改修で排出される木材など
  • 物流・保管資材: 使用済み木製パレットや木箱、梱包用木材

木くずの処理方法

木くずは再資源化が進んでいる廃棄物の一つです。リサイクルを優先し、再利用が難しいものを焼却や埋め立てに回すという順序で処理を検討すると、処理コストと環境負荷の双方を抑えられます。

ここで代表的な3つの処理ルートを紹介します。

3-1 リサイクル

木くずは繊維としての強度や発熱量を活かしやすく、産業廃棄物の中でリサイクルがもっとも進んでいる品目の一つです。

とりわけ建設現場の木くずは、2000年施行の建設リサイクル法が転機となり、一定規模以上の建設工事だと受注者に分別解体と再資源化が義務づけられるようになりました。

代表的な木くずのリサイクルが木質チップにする方法です。粉砕してチップ化した後、パーティクルボードや製紙原料として再利用されます。

水分の少ない木くずをRPFなどの固形燃料に加工し、バイオマス燃料としてボイラーで発電や温水供給に活用するケースもあります。加えて、防腐剤や塗料が付いていない木くずを、家畜ふんなどの有機物と混ぜて発酵させ、土壌改良材として農地に戻す、堆肥化という方法もあります。

3-2 焼却処分

塗膜・接着剤・防腐剤が付着してリサイクルが難しい木くずは、専用焼却炉で高温焼却されます。自治体や事業者によっては、焼却熱を発電や温水に回収する熱回収型の施設を導入し、エネルギーの活用を図っています。

3-3 埋め立て処分

再利用や焼却ができない木くずは、管理型最終処分場に搬入されます。遮水シートや浸出水処理設備が整った施設で適切に埋め立てることで、周辺環境への悪影響を防止して処分します。

産業廃棄物の木くずに関連するよくある質問

木くずの区分は、排出した業種に加え「どの工程で役目を終えたか」という視点でも変わります。区分を誤ると法令違反だけでなく、処分費用が大きく跳ね上がるケースも少なくありません。

ここで、産業廃棄物として木くずを扱う際に特に問い合わせの多いポイントを解説します。

4-1 木くずの処分費用はいくらですか?

産業廃棄物の木くずの処分費用は「重量制」と「容量制」があり、1kgあたり10〜60円または1㎥あたり3,000〜8,000円が目安です。

実際の金額は、木くずの汚れや含水率、地域相場などによって変動します。正確な費用を知りたい方は、処分業者へ見積もりを依頼して確認しましょう。

4-2 伐根で出た木くずは産業廃棄物ですか?

道路拡幅や公共施設整備など建設工事に伴う伐根材は産業廃棄物です。一方、自宅の庭木を個人で伐根した場合は一般廃棄物となり、自治体の指定にしたがって粗大ごみや可燃ごみで処理します。判定に迷ったら自治体へ確認しましょう。

4-3 おがくずは産業廃棄物ですか?

おがくずは排出源で区分が変わります。製材所や建設現場など事業活動由来なら産業廃棄物です。DIYや家庭菜園など、家庭や個人の活動で出た少量のおがくずは一般廃棄物として扱われ、市区町村の処理ルールにしたがって処分します。

まとめ

木くずの区分は「どの業種が・どの工程で排出したか」で決まります。産業廃棄物なら許可業者への委託とマニフェスト管理が欠かせません。

産業廃棄物と一般廃棄物の区分を間違えると、法令違反や余計な処分費の原因になる可能性があります。木くずを正しく仕分け、コストと環境負荷を最小化して処分できるようにしましょう。

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