廃棄物の種類

アスベスト処分費用はいくら?処理手順や費用を抑えるポイントも解説

アスベスト
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古い建物の解体や改修工事でアスベストが見つかった場合、処分費用や作業手順、そして法令面の手続きが不安になる方は多いのではないでしょうか。

アスベストはレベル1~3に分類され、飛散リスクが高いほど除去作業が厳重になるため、費用にも大きな差が出ます。

さらに、法律で定められた事前調査や行政への届出を怠ると罰則の対象になりかねません。

そこで本記事では、アスベスト処分費用のレベル別相場や、法令を守った処分の流れ、費用を抑えるポイントまで、専門的な内容をわかりやすく解説します。

アスベスト処分費用の相場

アスベスト

アスベストは飛散のしやすさ(発じん性)によりレベル分けされており、除去費用はレベルによって大きく変わります。理由はアスベストのレベルが作業の難易度に直結するためです。除去が難しいほど安全対策も厳格にしなければならず、その分、費用が上がります。

下記は大まかなレベル別の費用相場です。参考にしてください。

アスベストのレベル概要含まれる建材の例費用の目安
レベル1発じん性がもっとも高い吹き付け材4万5,000円~8万5,000円/㎡
レベル2レベル1ほどではないが十分な飛散対策が必要断熱材や保温材1万円~5万円/㎡
レベル3発じん性は低めスレートなどの成形板3,000円~1万円/㎡

国土交通省が提示している処分費用の目安

アスベスト処分費用に関しては、国土交通省が2007年1月~12月の施工実績をもとに目安を公表しています。大まかな費用を知りたい方はこちらも参考にしてください。

ただしこちらには、事前調査・仮設工事・廃棄物処理など除去工事に必要な費用がすべて含まれている点にご注意ください。

アスベスト処理面積除去費用の目安
300㎡以下2.0万円/㎡~8.5万円/㎡
300㎡~1000㎡1.5万円/㎡~4.5万円/㎡
1000㎡以上1.0万円/㎡~3.0万円/㎡
出典:国土交通省Q&A

実際の費用は、アスベストが使用されている建材の場所や劣化の度合い、発じん性などによって大きく変動します。わからない場合は専門業者に確認するようにしましょう。

【レベル別】アスベスト処分費用の相場を解説

アスベスト

ここで、アスベストのレベル別に処分費用の相場を解説します。

レベル1の処分費用

レベル1のアスベストの処分費用相場は、1㎡あたり4万5,000円~8万5,000円です。もっとも発じん性が高く、解体時は極めて慎重な作業が欠かせません。

レベル1のアスベストは、主に耐火被覆材として使用されているケースが多く、吹き付けアスベストや吹き付けロックウールなどがあります。

具体的には梁(はり)・柱、屋根裏、デッキ裏など、断熱や吸音を目的とした吹き付け材が該当します。空調機械室やボイラー室の天井・壁などにも使用されている可能性があり、注意が必要です。

レベル2の処分費用

レベル2のアスベストの処分費用相場は、1㎡あたり1万円~5万円です。レベル1ほどではありませんが依然として高めの発じん性があります。

レベル2のアスベストが含まれる代表的な対象の建材は、アスベスト含有断熱材、保温材、耐火被覆材など。よく見られるのは、ボイラー本体や配管、空調ダクトの保温材、煙突用断熱材などです。

取り扱いを誤るとアスベスト粉じんが飛散しやすいため、しっかりと対策を講じなければなりません。

レベル3の処分費用

レベル3のアスベストの処分費用相場は1㎡あたり3,000円~1万円です。スレート屋根、建築物の天井・壁の成形板、床タイルなどに含まれています。

対象は板状になっているなど、固形化したものが多いため、レベル1・2ほど発じん性は高くありません。ただし、解体時の割れや破砕には十分注意が必要です。

アスベスト処分開始前の準備

事前調査

アスベストを含む建物を解体する際は、ただ工事を始めるだけでなく、法律で定められた手続きや事前の調査・計画が必要です。

スムーズかつ安全に進めるために、処分開始前の準備の流れを押さえておきましょう。

アスベストの有無の事前調査

アスベストが含まれる建材の事前調査は、解体工事において非常に重要です。労働安全衛生法の改正により、2020年代から、建物を解体する際にはアスベスト調査が義務付けられました。

事前調査は建築物石綿含有建材調査者の資格者に依頼して、書類確認や現地調査を行い、アスベストが含まれている箇所の特定やレベルの判定を実施。同時に延床面積や構造といった基本情報も確認します。

一定の延床面積を超える建築物の場合は調査結果を行政へ報告しなければなりません。

施工計画の作成

事前調査の結果や建物の図面、設計図書をもとに、解体の手順や重機の搬入経路を含む施工計画を立案します。

この際、アスベスト処分の方法(除去・封じ込め・囲い込みなど)や、必要な人員・機材・作業期間なども詳細に検討します。環境保全の対策とあわせて具体的な作業手順を明確化することが重要です。

作成段階では各種法令に適合した手順を確認することも忘れてはならないため、適切な安全対策を盛り込むことが求められます。

こうして完成した施工計画が、アスベスト処分を含む解体工事全体の指針となります。

行政への届出

アスベストの除去作業を始める前には、各レベル1~3に応じて所管行政へ必要な届出を行わなければなりません。

レベルが下がるにつれて書類の種類や提出時期は少なくなるものの、いずれのケースでも法令を遵守するため、事前に提出書類の内容を確認し、期限を守って届け出ることが重要です。

必要な書類は下記のとおりです。

レベル1

  • ・工事計画届出書
  • ・特定粉じん排出等作業実施届出書
  • ・事前届出書
  • ・建築物解体等届出書

レベル2

  • ・工事計画届出書
  • ・特定粉じん排出等作業実施届出書
  • ・事前届出書

レベル3

  • ・事前届出書

近隣住民への事前説明

アスベストの除去工事は粉じんや騒音など、近隣住民に影響を及ぼす可能性があります。

そのため解体業者は、作業内容や工期、対策方法などを事前に十分説明し、理解を得ることが欠かせません。

特にアスベストの飛散防止策や安全管理の取り組みについては、住民が安心できるよう具体的に伝える必要があります。場合によっては依頼主自身が説明に同席することで、トラブルやクレームを防止し、スムーズに工事を進められます。

ライフラインの停止手配(必要に応じて)

解体工事を行う際には、ガスや電気、電話などのライフラインの停止手続きも必要に応じて進めなければなりません。

停止後は専門業者によるメーターや配管の撤去が行われるため、スケジュール調整の際は早めの手配が肝心です。

水道に関しては、粉じんの飛散防止や清掃などに水を使用するケースが多いため、先に停止すると作業に支障が出る可能性があります。事前に解体業者と連絡を取り、最適なタイミングでライフラインを停止するよう注意しましょう。 ​

アスベスト除去・処理作業の進行手順

養生

アスベストの含有が判明した建材を解体・処分する際は、周囲への飛散を防ぐための養生や、安全対策の徹底が不可欠です。ここでは、実際の工事現場でどのような手順を踏んでアスベストの除去・処理作業を進めていくのか、その流れを順を追って解説します。

工事の内容を掲示

アスベスト除去工事を始める前に、作業現場がどのような工事を行う場所かを周囲に明示しなければなりません。

具体的には、工事の名称や期間、作業内容、施工業者名、安全管理の責任者といった情報を記載した掲示物を、通行人や近隣住民が確認しやすい位置に設置します。

同時に工事エリア以外の人々が誤って立ち入らないようバリケードや柵を設置し、関係者以外の進入を禁止する措置を講じます。

作業箇所の養生・隔離 

アスベスト除去において、飛散防止策としての養生・隔離作業も非常に重要な工程です。

必要に応じて足場を組み、建物全体または除去対象の部位をシートで密閉して、外部へ粉じんが漏れ出さないようしっかり覆います。騒音対策のために防音シートを併用するケースも多いです。

窓や出入口、配管の隙間などには、アスベスト粉じんが拡散しないように目張りを施します。

吹き付けアスベストが使われている部分は劣化が進んでいると、作業中に飛散するリスクが高まっている場合があります。養生は周囲への影響だけでなく、作業員自身の安全確保にも大きく影響するため、丁寧かつ確実に行うことが重要です。

アスベスト含有建材の除去作業

養生と隔離が完了したら、いよいよアスベスト含有建材の除去作業に取りかかります。

作業方法は、事前に策定した施工計画に基づいて決定され、「除去工法」「封じ込め工法」「囲い込み工法」のいずれか、またはそれらを組み合わせた形で行われます。

作業中は、粉じんが舞い上がるのを抑えるために水を散布しながら除去を進めるのが一般的です。また、作業エリア内の気圧を常時外部よりも低く維持する「陰圧管理」をして、万一粉じんが発生しても外部に逃げにくくする工夫も行います。

除去工法とは

アスベストを含む部分を下地からすべて剥ぎ取り、完全に撤去する方法。劣化が著しい吹き付けアスベストなどは、この工法での処理が一般的です。

封じ込め工法とは

アスベスト含有部材に固定剤を吹き付け、表面を固めて粉じんの飛散を抑える方法。物理的に取り外すのが困難な場合や、取り外しによる作業リスクが高い場合に適用されます。

囲い込み工法とは

アスベストが含まれる部分を外部からカバー材などで完全に覆い、粉じんを外に出さないようにする方法。解体せずに現状を残したまま管理する場合に選択されることがあります。

アスベスト廃棄物の回収・梱包と運搬処分

除去が完了したアスベスト含有建材や粉じんは、飛散を防ぐために二重の袋などで厳重に梱包し、「特別管理産業廃棄物」として扱います。収集運搬を行う業者は、自治体などの許可を得た専門業者でなければいけません。

最終的には管理型処分場や遮断型処分場といった安全基準を満たした埋立地で処分します。

残留アスベストの有無の確認

除去作業がすべて終了した段階で欠かせない工程が、アスベストの残留の確認です。通常は石綿作業主任者などが目視で仕上がりをチェックし、必要に応じて空気中のアスベスト濃度を測定することで、基準値以内であることを再収穫にインします。

万が一取り残しが見つかった場合は改めて除去作業が必要です。そのままにしておくと、後に建物を新築・リフォームする際に大きな支障をきたす可能性があるため、確実に残留アスベストの確認をしましょう。

工事完了後は、依頼者が施工業者から作業報告書やマニフェスト伝票の写しを受け取り、処分が正しく行われたことを記録として残しておくことが重要です。

仮に補助金などを活用している場合には、工事完了の報告手続きが必要なケースも多いため、所定の書類を提出して交付を受ける流れを確認しておきましょう。

アスベスト処分費用を安く抑えるための3つのポイント

処分費用

アスベストの除去・処分は、建物の解体工事において大きな費用負担となりがちです。しかし、各種の補助金や助成金を活用したり、信頼できる専門業者を賢く選んだりすれば、コストを抑えながら安全で適切な処理を行えます。

ここでは、アスベスト処分費用を低減するための3つのポイントを紹介します。

補助金・助成金制度を活用する

国や地方自治体が設けている補助制度を活用すれば、アスベスト除去にかかる費用の負担を軽減できる可能性があります。

たとえば、国土交通省がアスベストに関連する補助制度を創設しています。加えて多くの地方公共団体がアスベストの調査や処分に関する助成事業を実施しているので、確認してみましょう。

アスベストに関連する補助金や助成は、事前の分析調査で活用できるものと、実際の除去工事を対象とするものの2種類があります。いずれも自治体ごとに条件や申請手続きが異なるため、早めに申請期限や必要書類を確認し、書類不備のないよう準備を進めましょう。

アスベスト除去の実績が豊富な業者を選ぶ

適正な価格で安全にアスベスト除去を行うには、実績が豊富な専門業者に依頼するようにしましょう。

経験の少ない業者に任せると、作業効率の低下や粉じん対策の不備により、追加費用が発生しやすくなります。その点、アスベスト除去に習熟した業者であれば、事前調査や養生、陰圧管理などを迅速かつ的確に行い、工期短縮やトラブル防止につなげられます。

さらに、国や自治体の補助金申請のサポートをしてくれる場合もあるため、そのような業者を選べば書類作成や手続きの負担を減らすことも可能です。

業者選びの際は、石綿作業主任者などの資格保有者が在籍している豊富な実績が公開されているといった情報を確認しましょう。さらに、丁寧な現地調査や適切な見積もりをしてくれるかどうかもチェックのポイントです。

複数の業者から見積もりを取得・比較する

同じ危険度レベル1の吹付けアスベストでも、アスベスト除去工事の費用は業者によって大きく異なります。処分費用を適切な価格に抑えるには、複数社から見積もりをとって比較しましょう。

複数の業者から見積もりを取り相場を把握すれば、過剰に高い料金設定を見抜きやすくなります。

また、極端に安い見積もりを提示する業者には不法投棄などのリスクがあるため注意が必要です。

見積書を受け取ったら、養生費や廃棄物処分費などの必要項目が含まれているかを確認し、疑問点があれば直接問い合わせましょう。こうした比較により適正な費用感をつかみ、安全かつリーズナブルにアスベスト除去を行える業者を見つけやすくなります。 ​

アスベスト処分費用に関するよくある質問

よくある質問

アスベスト除去の費用は、建物の構造や施工内容によって大きく変動するため、どの程度の金額がかかるのかイメージしにくい方も多いのではないでしょうか。

ここでは費用に関する代表的な疑問について、ポイントを押さえながら解説します。

アスベスト処理費用は誰が負担するのでしょうか?

2021年4月に施工された法改正によって、アスベストにかかる費用は「施工業者への配慮義務」の一環として施主が負担することが明確化されました。専門業者への依頼時には、アスベストの有無や作業内容をしっかり把握し、見積もりの段階で処理費用の詳細を確認することが大切です。

アスベストの処分は個人でできますか?

アスベストは特別管理産業廃棄物に指定されており、無許可の個人が勝手に処分することは法律で禁止されています。必ず許可を得た専門業者に委託し、適切な方法で撤去・廃棄しなければなりません。無許可で運搬・処分を行った場合、依頼主も法律違反に問われる可能性がありますので、十分に注意しましょう。

アスベスト除去にかかる日数は?

アスベスト除去工事は、小規模な範囲であっても安全確保が最優先となるため、計画から作業完了まで少なくとも1ヵ月ほどかかることが一般的です。具体的には、計画の策定に約1週間、事前の届出や許可取得に2週間程度、実際の除去作業に1週間ほどを要します。除去面積が広いほど期間は長引くため、早めの見通しを立てておくことが大切です。

アスベストの処分費用に悩んだら、まずは信頼できる専門業者に相談を

アスベストの処分費用は建物の規模や飛散レベル、安全対策によって大きく変動しがちです。過剰な出費やトラブルは、複数社の見積もりを比較することで回避しやすくなります。

経験豊富な業者ほど法令遵守や安全管理を徹底し、スムーズな工事が期待できるため、安心して任せられるので、業者選びの参考にしてください。悩んだらまずは専門業者に相談し、調査や見積もりを依頼しましょう。

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