廃棄物の種類

産業廃棄物の繊維くずとは?区分や処分方法、処分費用の相場を解説

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事業活動を行う中で、「自社から出るこれは繊維くずなのだろうか?」「産業廃棄物としてどう扱えばいいのだろう?」「リサイクルは可能なのか?」といった疑問や悩みを抱えることは少なくありません。

特に「繊維くず」は、その定義や分類が複雑で、適切な処理方法を判断するのが難しい廃棄物の一つです。   

本記事では、繊維くずの定義や分類、適正な処理方法について解説します。

繊維くずとは?法律上の定義と基本知識

廃棄物処理法では、事業活動に伴って発生する20種類の廃棄物を産業廃棄物と規定しています。繊維くずもその一つですが、業種指定があり、すべての繊維が産業廃棄物の繊維くずとして処分できるわけではありません。

産業廃棄物の対象となるのは「衣服その他の繊維製品製造業を除く繊維工業(紡績・織布など)」と「建設業(新築・改築・除去時)」から排出された天然繊維のくずです。

したがって、同じ糸くずでも衣料用の縫製工場から出たものは事業系一般廃棄物に分類されます。

また、ナイロンやアクリルといった合成繊維は繊維くずではなく、廃プラスチック類として扱わなければなりません。

特に注意しなければならないのが、ポリ塩化ビフェニル(PCB)が染み込んだウエス類です。PCBが付着した繊維くずは特別管理産業廃棄物として分類され、厳格な処理が求められています。

PCB汚染物について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

PCB汚染物とは?種類や適切な処理方法を徹底解説!低濃度PCB廃棄物処分の注意点も

産業廃棄物の繊維くずと一般廃棄物の繊維くずの違い

産業廃棄物か一般廃棄物かを分ける最大のポイントは「発生源が業種指定に該当するかどうか」です。

たとえば、建設現場で撤去した畳や工事用ロープは、業種指定の範囲内のため産業廃棄物に該当します。一方、縫製工場で発生する裁断くずや、店舗が処分する売れ残り衣料は、業種指定外となり、事業系一般廃棄物として市町村のルールで処理しなければなりません。

産業廃棄物と一般廃棄物の区分を誤ると不適正処理となり、行政指導や刑事罰の対象ともなり得ます。また一般廃棄物は、市町村の許可業者または自区内処理に従わなければなりません。

処理手続きだけでなく、処理費用やマニフェストの要否なども大きく異なるため、繊維くずの区分をきちんと確認しましょう。

産業廃棄物に分類される繊維くずの具体例

ここで、産業廃棄物に分類される繊維くずの例を紹介します。

排出業種繊維くずの例実務上の注意点
建設業(新築・改築・除去)畳(い草など)、天然繊維じゅうたん、工事用ロープ合成繊維入りのじゅうたんは「廃プラスチック類」として別区分
繊維工業(紡績・織布など)糸くず、木綿くず、羊毛くず、麻くず、レーヨンくず同一工場で合成繊維が混在する場合は品目ごとに分別が必要

上記のように排出業種と素材がマッチすれば、産業廃棄物の繊維くずに該当します。

しかし作業現場では、油が付着したウエスや天然・合成が混ざった端材など、複数の品目が混合した状態で廃棄されるケースも珍しくありません。

これらは「混合廃棄物」とみなされます。たとえば油が付着したウエスであれば、廃油の処理許可を持つ業者に処分を委託しなければなりません。

品目を誤って単一の繊維くずとして処理すると不適正処理となるため、混合状態の廃棄物は自治体や処理業者へ事前に必ず確認しましょう。

繊維くずの処理方法

環境省の統計によると、繊維くず排出量は約8.9万t、再生利用率は57.8%です。繊維くずは、リサイクル可能なものであれば可能な限り再資源化し、難しい場合のみ最終処分に回す流れが一般的です。

ここで、産業廃棄物に分類される繊維くずのリサイクル方法を見ていきましょう。

参考:環境省「令和5年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値

4-1 マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、繊維くずを物理的に加工し、素材そのものを原料として再利用する方法です。天然繊維であれば、裁断後にウエス(清掃布)として再利用したり、反毛処理によって繊維をほぐし、フェルトや吸音材に生まれ変わらせたりできます。

なお、商品価値を保っているものは、マテリアルリサイクルもせず、リユース市場に再流通させるケースもあります。

4-2 ケミカルリサイクル

ポリエステルなど合成繊維は法令上「繊維くず」ではなく廃プラスチック類に分類されます。そのため天然繊維と分別した上で、薬剤などでいったん原料まで分解してから、新しい繊維や樹脂に再生する ケミカルリサイクルが行われることもあります。

廃プラスチック類について、詳しくは以下の記事もご確認ください。

産業廃棄物の廃プラスチック類とは。定義や処理・リサイクルの方法を解説

4-3 サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、繊維くずを固形燃料化・熱利用し、エネルギーとして回収する方法です。

マテリアルリサイクルが難しい繊維くずは、固形燃料(RPF)へ加工してボイラー燃料として利用されます。ただし塩素系繊維を含む場合はダイオキシン対策として前処理が求められるため、燃料化の可否を処理業者とすり合わせた上で進めましょう。

4-4 リサイクル不可の繊維くずの処理方法

汚れや異物混入が激しい繊維くずは、破砕・焼却を経て管理型最終処分場に埋立処分されます。埋立容量は限られているため、可能な限り上位のリサイクル手段を検討する姿勢が求められます。

産業廃棄物の繊維くずに関連するよくある質問

繊維くずの区分や処理を進める際によく寄せられる質問をピックアップしました。気になる疑問はここで解消しましょう。

5-1 繊維くずの処分費はいくらですか?

繊維くずの処分費用の目安は1kg当たり20~60円、または1㎥当たり4,000~8,000円程度です。

実際は繊維くずの種類や含水率、リサイクル可否などによって変動します。買取可能なものであれば処分費が抑えられるケースもあるため、具体的な金額は地域の処理業者に見積もりを依頼して確認してください。

5-2 産業廃棄物業種指定の一覧は?

産業廃棄物に業種指定がある品目は、以下の7品目です。

  • 紙くず
  • 木くず
  • ・繊維くず
  • ・動植物性残さ
  • ・動物系固形不要物
  • ・動物のふん尿
  • ・動物の死体
  • 上記7品目は、特定業種から排出された場合に限り産業廃棄物となるため、発生源を正確に把握することが重要です。

まとめ

繊維くずは業種指定のある産業廃棄物であり、排出した業種と素材の組み合わせによって区分が変わります。区分を誤ると不適正処理となり、行政処分や罰則の対象になりかねないため注意が必要です。

天然か合成かを判定し、建設業や紡績・織布など業種指定に該当するかを確認した上で適正処理を行いましょう。

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