産業廃棄物のガラスくずとは。陶磁器くず・コンクリートくずとの違いと処理方法を解説
産業廃棄物の中でガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、建設現場や製造業などで頻繁に発生する廃棄物です。
それぞれの違いや適切な処理方法を正確に理解していないと、法令違反やコストの増加につながる可能性があるため、正しい知識を身につけましょう。
この記事では、ガラスくずを中心に、陶磁器くずやコンクリートくずとの違いや処理方法を詳しく解説します。
産業廃棄物のガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずとは?

産業廃棄物の中でもガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、建設業や製造業などの事業活動によって発生する廃棄物の一つです。
ガラスや陶磁器の製造工程で生じた不良品や廃材、卸売業・小売業で排出される使用済みのガラス容器、コンクリート製品の加工や解体の際に発生する破片などが含まれます。
ただし、建物の解体工事などによって発生するコンクリート片やレンガ、タイルなどは「がれき類」に分類されます。「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」とは区別しなければなりません。
適切に分類することで適正な処理が可能になり、リサイクルの選択肢も広がります。
環境省が公表している「令和5年度 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書(令和4年度速報値)」によると、令和4年度における「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」の排出割合は全体の2.1%にとどまっています。
しかし排出量としては7,629千トンに及び、決して軽視できません。
参考:環境省「令和5年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値」
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずの種類
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、建設業や製造業において発生する廃棄物の分類ですが、それぞれの性質は異なります。ここで、それぞれの違いを見ていきましょう。
ガラスくず

ガラスくずとは、事業活動によって発生するガラスを主成分とした産業廃棄物のことです。
発生源としては、ガラス製造工程での不良品や割れたガラス製品、小売業で回収される使用済みガラス容器などが挙げられます。
具体的なガラスくずの例は以下の通りです。
- 板ガラスくず
- 破損ガラス
- ガラス粉(研磨くず・切断くず)
- ガラスびん(容器)
- 蛍光灯
- ガラス管
- ブラウン管
- グラスウール・ガラス繊維
- ロックウール
- カレット(リサイクル用の砕いたガラス片)
- ガラスブロック
- 強化ガラス など
コンクリートくず

コンクリートくずとは、コンクリート製品の製造工程で発生する不良品や、加工時に出る破片などコンクリートを主成分とした廃棄物を指します。
具体的なコンクリートくずの例は以下の通りです。
- コンクリートブロックくず
- インターロッキングくず
- モルタルくず
- 石膏ボードくず
- セメントくず
- 生コンクリートの残渣 など
陶磁器くず

陶磁器くずとは、陶磁器の製造過程で発生する不良品や割れた製品、卸売・小売業で廃棄される使用済みの陶磁器製品などのことです。
食器やタイルの製造過程で発生する欠損品や、耐火レンガなどの産業用途の廃棄物も含まれます。
具体的な陶磁器くずの例は以下の通りです。
- 陶器くず
- 土器くず
- 磁器くず
- せっ器くず
- 焼結材くず
- フェライトくず
- セラミックくず
- 素焼くず
- 耐火煉瓦くず
- 焼瓦くず
- タイルくず など
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずの処理方法

環境省が発表した情報によると、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは全体の約79%が再生利用、約6%が減量化、約15%が最終処分となっています。
再生利用率上位のがれき類や金属くずでは全体の約96%がリサイクルされており、十数%の差があります。
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、さらなるリサイクル率向上の余地が十分に残されていると言えるでしょう。
ここで、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずの具体的なリサイクル方法と埋立処理の方法について詳しく解説します。
参考:環境省「令和5年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値」
リサイクル処理
リサイクル可能なガラスくずは、色ごとに選別された後に破砕され、「カレット」と呼ばれるガラス原料として再利用されます。
カレットは、新たな原料であるケイ砂などに比べて低い温度で溶融できるのが特徴です。そのためカレットを用いたガラス製造も、エネルギーや資源の節約につながります。
ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずは、がれき類と同様に破砕処理を施すことで、道路の路盤材やコンクリート用の骨材原料としてリサイクルすることも可能です。
ガラスくずは吸水性がない、陶磁器は通気性と保水性があるといった各素材の特性を活かし、適材適所で再生利用されています。
製陶業が盛んな地域では、陶磁器くずを再び陶器の原料に用いるケースもあります。不良品や破損品となった陶器類を破砕し、陶土(練り土)に混ぜて微粉化し、水を加えて練り直すことで、新たな陶器の原料としているのです。
コンクリートくずの中に含まれる石膏ボードくずは、石膏ボードの原料やセメント原料、土壌改良剤などとして再利用されることがあります。
埋立処理
リサイクルできないガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、中間処理業者によって破砕処分をした後、安定型最終処分場に運ばれて埋立処分されます。
ガラスくずは異なる素材が混ざっているなどリサイクルが難しいケースもあり、そのようなものは破砕した上で最終処分(埋立)されることが多いです。
陶磁器くずについても同様に、破砕後に埋立処分される割合が少なくありません。
ガラスくずに関連するよくある質問

ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずの処分に関して寄せられる代表的な疑問をまとめました。処理費用や必要な手続きなどを確認してみましょう。
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずの処理費用の相場は?
ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くずの処理費用は、おおむね30~80円/kgが相場といわれています。
ただし排出量や地域、依頼先によって、実際の費用は変動します。
詳しくは産業廃棄物処理業者へ見積もりを依頼し、確認してください。
ガラスの処分にはマニフェストは必要ですか?
ガラスくずを産業廃棄物として排出する場合、または「到着時有価物」として扱う場合は、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が必要です。
「到着時有価物」とは、有価物の売却益より輸送費が上回る際、排出事業場から処分先へ運ぶ間を産業廃棄物とみなし、到着後に有価物として扱うものを指します。
最初からリサイクル資源として扱う場合などは、マニフェストが不要となるケースもあります。
コンクリートくずとがれき類の違いは?
「コンクリートくず」と「コンクリートがら」は、いずれもコンクリート製品の廃材ですが、排出される場面が異なるときに分類も区別されます。
コンクリートくずは工場などでコンクリート製品を製造する過程で生じる破片や不良品のことです。産業廃棄物においては「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に分類されます。
一方、コンクリートがらは建築物や土木構造物の新築・改築・解体に伴って排出されるがれきのことです。産業廃棄物では「がれき類」に該当します。
ただし石膏ボードは建設現場から排出されるにもかかわらず、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に区分される例外となる点に注意が必要です。
がれき類について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
産業廃棄物のがれき類とは。定義や処分費用、コンクリートくずとの違いについて解説
まとめ
「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」は、事業活動によって発生するガラス・コンクリート・陶磁器を主成分とする産業廃棄物です。建設業や製造業を中心に排出されており、適切な分類と処理が求められています。
産業廃棄物の適正処理には法令の遵守と許可を受けた処理業者への委託が不可欠です。環境負荷を抑えつつ、廃棄物の有効活用を進めていくためにも、処分は適切な処理業者へ依頼するようにしましょう。
